案件名
健康診断システムに付随する受診者誘導アプリケーション群の開発
お客様 | キヤノンITSメディカル株式会社 |
---|---|
担当者様 | ヘルスケアIT事業部 第一ソリューション本部 第二開発部 開発第二課 佐々木 知二様(写真中央) ヘルスケアIT事業部 第二ソリューション本部 開発部 開発第三課 櫻田 隆士様(写真一番右) |
概要
概要
Before
・受診者の呼び出しにかかるスタッフのコスト
・紙媒体を利用した受診者の進捗状況管理
・問診表への記載にかかる手間
・サーバー機器の操作に慣れないスタッフでの管理運用業務
After
・医療機関にて貸し出すAndroid端末のアプリにて自動的に受診者の誘導が行える
・現在の受診状況・結果が手元のAndroidアプリやWindowsアプリにて確認できる
・Androidアプリから、検査に関わる一部の問診登録が可能となり、問診票の手書き負担を軽減できた
・分かりやすいUIのアプリケーションにて、管理運用業務が実施できる
・システム化を行ったことで健診時間が10分ずつ短縮できており、その上で新規顧客の集客につながっている
・紙媒体での業務を電子化したことによる残業時間の削減
導入背景
導入背景
キヤノンITSメディカル株式会社は、1972年に設立された医療情報システムを中心とした事業を行っている企業です。同社は、病院・診療所・調剤薬局・健診施設等、医療関連施設に業務効率化のための医療ITソリューションを提供しています。同社の強みは、医療ITソリューションの提案・開発から導入・運用・保守を「One Stop」で提供していることです。また、2拠点で運営しているサポートセンター(東京・大阪)では操作・トラブルに対応しています。同社が提供する医療ソリューションには、電子カルテ、レセコン、健診支援システム等があります。
今回、Android端末上で動作するアプリケーションとして開発したのは、健診施設における受診者誘導を支援するシステムです。同社が開発した健診データ収集システムと連動して健診施設での健康診断や人間ドックをスムーズに案内することができます。
Androidアプリ開発をジェイテックが実施しています。

キヤノンITSメディカル株式会社 公式サイト
キヤノンITSメディカルは1972年の設立以来、一貫して医療情報システムを中心とした事業を行なってきました。その豊富な医療ITの導入ノウハウとマルチベンダーであることの強みを生かし、幅広いソリューションやサービスの中から、最適なソリューションを提供します。 |
選定理由
J_TECHを選んだ理由
佐々木氏:
スマートフォンを活用したシステム開発を計画していましたが、私たちにはその開発経験がありませんでした。
J_TECHは、私たちの業界(健診・電子カルテ)への深い知見に加え、SESや受託開発での豊富な実績があり、技術品質の高さに定評がありました。
自社にない専門知識を補っていただける最適なパートナーだと考え、依頼を決めました。
結果としては、「期待通り、プロジェクトでは大きな問題もなく柔軟に対応いただき、非常に感謝しています。」とお言葉をいただき、ご期待に沿った形でプロジェクトを完遂することができました。

課題
課題
1.受診者の高齢化
現在日本の高齢化は急速に進んでおり、「超高齢社会」と言えるほどにまでなっています。医療機関においてはその影響が特に顕著であり、利用者の平均年齢が上昇しています。
そこで高齢者においても、分かりやすく使いやすい誘導アプリケーションの開発が最重要な課題となっていました。
2.クローズドなネットワークでの受診呼び出し
多くの医療機関では、受診者様の個人情報のみならず、健診情報・医療情報を扱っており、セキュリティ上の理由からインターネットに接続されていない閉じたネットワークを利用されています。
そのため、受診者所有のスマートフォンなどを利用した個別呼び出しなどが困難な状況であり、医療機関にて貸し出すAndroid端末にて誘導を実施することとなりました。
3.不透明な診察待ちの管理と情報伝達の遅延
従来の健康診断の現場では、診察の進捗状況や待ち人数がリアルタイムに把握しづらく、受診者への情報伝達もスムーズでないという課題がありました。
どの検査で待ちが多く発生しているのか、受診者にとっては次に誰が呼ばれるのかといった情報が可視化されておらず、スタッフの都度確認や受診者の不安に繋がっているとのことでした。
こちらの課題は、スタッフ・受診者での確認が行いやすい端末での実装を要望されていることもあり、Windowsアプリでの開発を実施しました。
4.システム運用における煩雑な管理運用業務
健康診断システムでは、検査項目の変更や受診者への情報配信、定期的なアンケート内容の見直しなど、さまざまな管理運用業務が発生します。
これらの業務をサーバー機器等の操作に慣れていないスタッフにおいても行えるようなアプリケーションの設計・開発を実施しました。
提案
提案したソリューション
1.多様な受診者に優しいUI/UXのご提案
今回の受診者誘導システムは、高齢の方や外国人の方も多く利用されるため、一目見た際に分かりやすいUIとなる様、弊社からも多く提案をさせていただきました。
また、スマートフォンの操作に慣れていない受診者も想定されることから、意図しない操作(連打や同時押しなど)への対策も徹底し、受診者のUXの質の向上を実現しました。
2.Android端末仕様に対応した、途切れにくいアプリ操作性の確保
受診者誘導アプリの運用上の特性から、「長時間触らないタイミングも発生するが、画面消灯している状態(スリープ状態)が極力発生しないようにし、受診者の操作による画面復旧が容易」であることが求められておりました。
しかし、導入されるAndroid端末の仕様により、未操作状態が続いた際の画面消灯を防ぐことは不可能でした。
そこで、画面消灯した場合も、受診者によって復旧が容易となるような設計を提案させていただきました。これにより医療機関のスタッフの負担が軽減できました。
3.運用保守性の高い設計によるメンテナンス作業の内製化
Androidアプリで参照するマスタ情報や配信するお知らせ情報などの更新が必要になった際、医療機関のスタッフがデータベースやサーバーの操作に不慣れな場合でも、容易にメンテナンスを実施できるような設計をご提案いたしました。これにより、Androidアプリの保守運用における一部の作業を内製化することが可能となりました。
受診者誘導システムでは、健診項目の変更など、頻繁にマスタメンテナンス作業が発生していました。この作業を効率化するため、Windowsアプリを開発し、専門知識のないスタッフでも簡単にメンテナンス業務を実施できるようになりました。
4.開発環境構築にAWS EC2インスタンスの利用
弊社内で利用する開発環境について、AWSのEC2インスタンスを利用してDBサーバーとAPIサーバーを構築しました。
これにより、迅速・柔軟な開発環境の構築と、コスト効率の良い運用を実現することができました。
結果
導入したことによる実感
佐々木氏:
担当の櫻田さんが丁寧にユーザーのニーズを汲み取り、システム化してくださったおかげで、
健診時間は1人あたり10分も短縮され、受診者アンケートでも大変高い評価を得ています。
何より嬉しいのは、受診者様の間で『あの施設はシステム化されていてスムーズだ』という口コミが広がり、
当初の目的であったリピート利用の促進だけでなく、新規顧客の獲得という想像以上の成果に繋がったことです。
櫻田氏:
J_TECHには、開発後の運用まで見据えた、きめ細やかなシステム設計をしていただきました。
例えば、プログラミングなどの専門知識が無くても、PC操作が可能であれば現場でアプリの設定変更ができるようにしたおかげで、作業の内製化が進みました。結果的に、現場スタッフのITスキル向上にも貢献できています。
また、長年の課題であった紙ベースの業務が電子化されたことにより、現場スタッフの残業時間削減にも貢献できたことも、非常に大きな成果だと感じています。

今後
今後の展望
今回の成功を一つのステップとし、さらなる受診者サービスの向上に向けたシステムの機能拡張を構想されています。
具体的には、現在の日英2言語対応からさらに対応言語を増やすことや、GPS・ビーコンといったIoT技術の活用を検討されているとのこと。
「受診者様が施設内のどこにいるかをリアルタイムに把握し、次の検査室へ自動的にご案内するなど、よりシームレスな誘導を実現していきたい」と、次なるビジョンについてお話しいただきました。
J_TECHは、お客様が描く未来の健診サービスの実現に向け、最先端の技術動向も踏まえながら、引き続き最適なソリューションをご提案してまいります。
(下記画像、中央は佐々木 知二様、一番右は櫻田 隆士様
一番左は当社 システムソリューション本部 戦略推進部 クラウド推進課 1G 大友 敬太郎)
